無償の愛

家でできたブロッコリー

本日のどか呉店より。寒くなったり暖かさを取り戻したり体調のほうはいかがですか?こうして本格的に春になっていくのでしょうが、春は春で浮遊感を感じるようなめまいを起こす方が多くなります。自律神経のバランスも崩しやすい季節ですので体調管理には気をつけてくださいね。
さて、以前僕の母は今入院していることを書いたと思うのですが呉にいるときはもちろんなるべく病院に足を運びます。そんな母の隣のベッドで入院されている方のお話です。
見かけたところ70歳の後半はいってらっしゃるような女性。この病院は医療型療養施設なので本格的な治療というより体の様子を見ながら自分だけでは生活できる状態ではない介護を必要とされる方ような方がほとんどです。この女性もほとんどお話されるところを見たことはないですし、口を常にあけられ小刻みに震えていらっしゃいます。手は硬直しないように棒のような物を結び付けてあるような状態です。筋肉や関節というのは使わなければ思いのほか早く弱ってしまう事は仕事柄心得ているつもりですが、最終的にはひどく硬直して掌などは開かなくなってしまうというのを病院でまざまざと見せ付けられています。つまりこの女性はっきりいって自分では何をなせるという状態ではないのです。
この女性にはおそらくご主人であると思われる男性が僕がよくいく時間にはいらっしゃいます。以前この男性は僕と同じようにお見舞いのように通われていたのですが、今では病院のパジャマを身に付けておられるところを見るとご本人も入院されたようです。その経緯は当然わかりませんが、その介護振りというか、愛情の注ぎ方というのがとても心打つものなのです。女性はよく痰がからむようなので、その状態を見るとすぐ看護士さんを呼んであげるといった事は当然のこと、「テレビはよう見えるんか?」「うん?眠たいんか?今寝たら夜寝られんぞ」「ご飯(鼻からの流動食なのですが)おいしかったか?」女性の頭を撫でながら一生懸命、見つめながら話しかけていらっしゃいます。女性はそれに対して言葉を返すでもないのにです。
なんともいえない愛情の形だという気がしながら、耳に入ってくるそのやりとりに切なさを感じました。とかく愛情を注ぐ場合、相手からの何かしらの反応を期待してしまうものですが、本当の愛情とはよく言われるように無償の愛なんですかね。与えるだけの愛で、頂くことは何一つ期待しない。母親の愛なんてまさにその通りだと思っていたのですが、男女の間でもこうした愛が成立することを確認できたような気がします。
なんとなく声をかけずらいながら「お先に失礼します」というとその男性は「ご苦労様です」と僕の目を見て割りとしっかりした声で返してくれました。短い言葉のやりとりでしたがその続きを色々話しているような気持ちがしながら車を運転していたのでした。