話すべきか話さざるべきか

 本日は少しデリケートなお話です。毎日施術をしていると色々な方が来られます。そんな特徴の一つに施術中よくお話をされる方もいらっしゃればほとんどお話されず寝ていらっしゃるような方もおられます。その事に対して施術者の僕、また患者さん自身はどのように考えていらっしゃるのでしょうか?
結論から言いますと、僕の立場としてはどちらでも構わないのです。
 まずあまりお話されない方。施術が始まるとほぼ同時に目をつむられ、いびきすらかかれて眠られる方もおれば、「あ、うとうと少し寝ていました。すみません・・・」と言ってがまんしつつも寝てしまったと言って下さる方もおられます。全然問題ありません。うとうとするという事はリラックス出来ている証拠だし、脳波はα波となりセロトニンなども分泌されて体にはとても良いです。なので僕は眠られている方にはなるべく体の向きを変えなくてもすむような施術(目を覚まさなくても済む)を選んでいます。
 逆に、施術の間中ほとんどお話をされている方もおられます。こうした方に対しては基本的に施術上必要な場合を除いて(口をつむらなければ無理な施術や特別な集中を要する時、危険を伴うなど)お話をして頂いても良いようなスタンスで接しています。
 オステオパシーの施術というのは繊細さを要求されます。はっきり言いますと僕自身はあまり話をせずに技術に集中出来るに越したことはありません。しかしながら患者さんはロボットではなく人間です。感情面からいうとリラックスして頂いた状態で施術を受けて頂けるのが一番良い事だと思います。お話をされる方というのはそうする事によって自分自身を治療していると教えて下さったオステオパシードクターもいました。なので眠られたい方は基本的に眠って頂き、お話されたい方はお話して頂いて結構なのです。
 ではどういう風にそうした状況を見極めているのでしょうか?来院頂いた時から施術が始まって数分から10分位はなるべく僕からお話掛けてコミュニケーションを取るようにします。これは上記どちらのタイプの方でもそうしますしとても大事な事です。ましてや初めて来院の方は緊張を取って安心して頂き、どういう状況なのか?どういうタイプの方なのか?(→実はこれがどのようなテクニックを使ったり施術方針を立てるか、施術効果にとってもすごく重要なのです)を僕なりに判断しています。
そうこうしているうちに、ご自身から色々なお話をされ始める方もおれば、うとうとされ始める方もいます。お話をされる場合はその内容に耳を傾けて安心して頂いたり症状を良く出来るヒントがないか聞いていますし、うとうとされる場合は出来るだけお話掛けずに施術を続けています。
先日少々うつ症状がある方が来られましたが、施術後、「こんなに笑ったのは久しぶりです」と言って下さいました。もちろん手も動かしているのですが、手技以外の面でこの言葉はこの言葉で嬉しいですし症状改善の為に良い事ならばよかったなと思えるのです。
時間の関係や、施術上の都合で起きて頂くなどお願いをする事もありますが、技術の向上はもちろん気持ちの面でも安心感を持って頂ける施術状況と環境を作っていきたいなと考えております。