暖かいお話

クリスマスも過ぎ、今年も残り少なくなりました。掃除に年賀状、寒い中ですが毎日慌ただしく過ぎますね。そんな中今日は先日あった、大変だったけど心暖まるお話です。
呉の実家にはもちろん駐車場があるのですが、中にはお車でこられる方がいらっしゃいますので、その時は別に借りている少し離れた駐車場に自分の車を移動しておきます。ところがその駐車場、地面が土ででこぼこしており足場が悪いんですね。
夜お客様も帰られ、九時過ぎにその駐車場に車を取りに行き、さてサウナにでも行こうかと車を動かしはじめてしばらく、車がゴトンと音を立て、タイヤが空回りしはじめました。前進もバックもどうにも空回りばかりで車は動きません。降りてみると盛り上がった土や草の部分にフロントをとられ左車輪が少し浮いていました。多少の事でしたのでそう慌てず、その辺の石や木切れ等をタイヤにかませて動かしてみますが進みません。しまいにはお風呂の為にもってきたバスタオルも敷いてみますがすべって空回りするばかりです。かれこれ一時間、体力は使うし、外は真っ暗、ひどい寒さです。丘の上なので通る車もほとんどありません。
かれこれ11時も近くなり、ついに諦めて、加入しているトラブルサービスに連絡しますがなんとつながらず。やっとつながったと思っても到着まで二時間位かかるとの事。途方にくれていると一台の車が駐車場に入ってきました。車から出てこられたのは若い男性。事情を説明すると気さくな呉弁で「大変じゃねえ。どうしたらええかねえ」と寒さの中白い息を吐きながら、あれこれ手を尽してくれます。男二人。僕が運転席で動かせながら奮闘するも動かず。すると20分程二人で健闘していた頃近所の方が空ぶかしの音が続くのに「どうしたんねぇ。」と出てきてくれました。
ついに男三人。男二人だと車が少し動くのでその方々が前から車を押してくださり、同時に僕はバックでアクセルを踏み込みました。「ブーゥン。ゴトン!!」その瞬間、車は人間の手から飛び出る猫のように勢いよく動きだし、たまっていたイライラを解消すべくすぐにでも発車したいかのように白い煙をあげてアイドリングしていました。
僕は心からお二人にお礼を言いました。暗闇の中、顔もはっきり見えないような相手の為に白い息を吐きながら力を貸してくださったお二人。とかく自己中心的になりやすい現代、人の暖かさを感じたそんな出来事でした。