夫婦愛

 昨日のお話です。いつも来てくださっているお客様が「夫もこういうの好きですし受けても大丈夫ですか?」とご質問下さいました。それに対し僕は「状態を見させて頂いて可能な事をさせて頂きますので大丈夫ですよ。ご自宅にお伺いしてもよろしいですし」とお答えしました。実はこの旦那様は1月に脳梗塞で倒れられ先日退院されご自宅療養されています。やや半身麻痺が残り、言語障害も残っているとの事。それで上記のようなお答えになったのですが、ご帰宅された奥様よりさっそく電話がありご自宅へ伺いました。
 思っていたよりも歩くことに関しては状態がよいのですが、右の手を曲げたり上に上げたりということが難しいようです。そしてお言葉は確かに少し聞き取りづらく、今は言葉のリハビリに通われているとの事です。僕はそちらは専門ではないのでひたすら心を傾けて言われる事に耳を傾けていたのですが気になったのは腕のほうです。これに対してはもうリハビリをしていないというのです。人間の筋肉は使わなければ衰えます。おそらく入院して1週間でも寝たきりになれば30代の今の僕でもしばらく立つのに苦労すると思います。このご主人様も案の定、腕の筋肉はかなりやせていらっしゃいます。まして脳指令を失った場合の筋力低下はちょっとした運動神経の働きもなくなるので早いのです。昨日に関しては退院されたばかりということで整体反応が強くでてもいけませんし足の施術とハンドリフレクソロジーをおりまぜたのですが、腕を動かすようにかんばられる事と各関節をしっかり動かして関節が固まるのを防いだほうがよい事をお勧めしました。すると随分気に入って下さり来週からもお願いしますと目を潤ませていらっしゃいます。介護の大変さを語られることもあった奥様ですがそんな旦那様を見る目がすごく優しいのです。そして聞き取りづらい旦那様のお言葉を噛み締めるように聞き取ろうとしていらっしゃいます。パッチワーク等がお好きな上品な奥様と昔は自衛隊で勤務されていたというハンサムな旦那様。僕なんかよりもずっと人生の大先輩ですがそんな僕を玄関まで見送りに来てくださり頭を下げてくださっています。まだまだ未婚、僕にはとても及ばない夫婦愛のオーラをそこに感じましたよ。