オステオパシーについて~テクニック編9「内臓マニピュレーション」

今回のオステオパシーテクニックは、内臓マニピュレーションについてお書きします。
歴史的な事もさらりと書いておきますと、創始者スティル先生も内臓へのアプローチを行っていたという記述は残っているそうなのですが、以前お書きしたようにスティル先生はテクニックについては後世に残されなかったのでどのような事を行っておられたのかはわかっておりません。

そんな中、現在もご存命のジャンピエールバラルというフランスのドクターが、一から再度内臓へのアプローチを開発され、現在では世界中で内臓へのテクニックが教えられ発展されています。
「内臓へのアプローチって?」と思われるのも無理はありません。これは厳密に言うと、内臓そのものへのアプローチというよりは、内臓を包む「膜組織」へのアプローチという方が正しいかもしれません。
以前、「身体は繋がっている」シリーズでお書きしたように、身体は筋肉や骨、内臓や神経、血管…その他全ての身体の組織が膜組織で繋がり固定されているために、例えば走っても胃や肝臓がぶらぶらせずに済むわけです。
しかし、この膜組織がバランスの崩れや、疾患(肺炎、肝炎その他…)や生活習慣によって緊張、変性をして固着や癒着を起こしてしまうと、他の組織を引っ張って障害や問題を起こしてしまったり、例えば肝臓を包む膜組織が緊張を起こすと肝臓そのものの働きも落ちてしまうかもしれません。
そこで、オステオパシーのソフトな技術でこれら内臓を包む膜組織を緩めてあげて、組織の緊張状態を取り、身体のバランスを改善させ、ひいては臓器の働きも向上させてあげましょう、という目的で行われます。
原理で言えば、直説法、間接法ともにありますが、当然内臓にかかわる組織にアプローチしますからとてもソフトに行われます。
もちろん、胸郭(肺や気管支、心臓など)や腹腔臓器(胃や肝臓、十二指腸や子宮、大腸…)ともにあらゆる臓器組織へのアプローチがあります。
正し、毎回リンク貼付します注意事項にもありますように、あくまで内臓を包む膜を緩めで組織の緊張を取る事が目的なので、結果的に臓器の働きがよくなることはありうるかもしれませんが、決して疾患を治すとかそういう目的、意味でのアプローチではない事は念の為書き添えておきます。

※湊はジャンピエールバラルDOの内臓マニピュレーションセミナー、JOPA(日本オステオパシープロフェッショナル協会)の腹腔内臓・胸郭セミナーのそれぞれベーシック、アドバンスを受講、修了しております。

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オステオパシーについて~テクニック編8「LAST(リガメンタス・アーティキュラー・ストレイン・テクニック)」

 

 少々久しぶりになりましたが、テクニックのご紹介を加速したいと思っています。

 今回のオステオパシーテクニックはLAST(リガメンタス・アーティキュラー・ストレイン・テクニック)についてお書きします。

 これはアメリカのオステオパシー会の巨星、ローリンベッカーDOやロバートフルフォードDOなどをメンバーとして構成されたダラスオステオパシー研究会が、創始者アンドリューテイラースティル先生や、その弟子ウィリアムガーナーサザーランド先生などが用いていたとされる頭蓋から全身へのテクニックを研究し、発展させたものです。

といってもオステオパシーの歴史をご存じない方にはピンとこないと思いますが、簡単に言えば、靭帯、筋膜、関節などに関して、古くから使われていたであろうテクニックを再度掘り起こして研究し、今なお先の研究会によって発展させていっているテクニックです。

具体的には組織を「自由化」「誇張」「バランス」という三つの原則を元に組織を位置、柔軟性を取り戻し、体液の流れを促進出来るように回復させるものです。

原理で言えば、間接法も直接法もありえるテクニックです。

 ちょっとわかりにくくなってしまいましたが、ごく簡単にご説明すると、どのような世界でも温故知新というのはあって、やはり昔の不便な状況の中で優秀な先生方が苦労して編み出されたであろうテクニックというのは、合理的で理にかなっている部分が多く、それらを様々な文献を元に掘り起こし再現させながら、改良を加えるものは加えていく、そうしたテクニックであり当然のごとくその効果は絶大です。

また、自由化、誇張という位なので、矯正音などを伴うことなく、非常にソフトかつ、施術を受けれられた際の体感もあり、個人的にはとてもよく使っているテクニックです。

(同じ趣旨で古いテクニックを掘り起こしつつ使われた地域で呼称が異なるBLT(バランストリガメンタステンション)というものもあります)

 

※湊は日本人講師によるベーシックコースと、ダラスオステオパシー研究会会長コンラッドスピースDO(書籍LASTの著者)によるアドバンスコースを共に受講、修了しております。

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科学的?非科学的?

 11月にしては比較的暖かく感じますが今週から温度が下がってくるようです。

 ここ最近ふと頭に浮かんだ方から連絡がある、という事があまりに多く自分でもさすがに「何か特別な能力でもあるのか?」と勘違いしそうになります。(実際には普段そんな能力が自分に備わっているとは思っていません。)

 今までも書いたことはありますが、何気なくふとある患者さんのお名前やお顔が頭に浮かぶことがあります。するとほどなくその方からご予約なりの連絡が入るという事です。これは今までもありました。しかし、最近半端なく多い!毎月来られるような方であれば偶然で済ませられますが、引っ越しをされた患者さんから近況が入ったり、引っ越して1年近く経つ方がが広島へ来られる事がありその際に寄らせて欲しいという連絡が入ったり…。

 この仕事をしていると、初診の方で「オステオパシーって怪しげなものではないか?」と感じているのかな、と感じられる方がおられます。(ご本人は言われまなくとも顔をみていればわかります!)

 勿論、初めてで不安があるのはごもっともなので、ホームページなどでなるべく来院頂く前に「オステオパシー」についてご理解いただけるよう工夫してお書きしているのですが、なかなか難しい面もあります。

 改めて申し上げておくと、「オステオパシー」はとても科学的です。解剖学、生理学、生体力学に基づいて身体を拝見、調整していくので、行う施術そのものはとても合理的です。説明がつきます。

 ただ、そうした事を超えてくると、エネルギーとかエモーションとか目に見えない対象物も入ってきます。ただこれらとて、僕はセミナーでは随分科学的に説明を受けました。

 僕が、当初オステオパシーに興味を持ち、ずっとそれを基本に施術しているのは科学的だと思ったからです。

しかし、この仕事を始めて経験を積むにつれ、また親が亡くなったりして色々思うと、世の中すべて「目に見える事」が正しくて科学的に説明つく事が全てかと思うと、そうも思わなくなりました。

最初にお書きしたような、科学的に説明がつきにくいような事がいろいろ身の回りに起こるのも確かだと思うし、それはそれであるんだろうなと思います。

 とにかくも、多くの方がのどかに思いを寄せて下さり、来院頂くのは有難い事です。思いに応えられるよう、これからも頑張ろうと思います。

 

最近のあれこれ(てんこもり)

 キンモクセイの香る季節になりました。自宅にもあるのですが、海田町のお店の前のご自宅にもあって当然のように同じ時期に良い香りを届けてくれます。毎年同じ季節に花を咲かせるのはかしこいなあ、と感じます。

 

 カープも順位的には今一な形になりましたが、若手が随分成長してくれましたし、終盤は来シーズンにつながる試合をみせてくれました。若手の成長を楽しめるのもカープの楽しいところ。来年を楽しみに期待しましょう(^^)/  誠也はやっぱりいなくなるのでしょうか…(泣)

 

 朝ドラ「おかえりモネ」も無事終了。菅波先生とモネちゃんも結ばれ(^^)、コロナ禍の未来に期待のもてる内容でした。震災がテーマという事もあり、人物のセリフや表情の奥底が意味するところを理解するのが難しく、ある意味異色の朝ドラと感じましたが、色々考えさせられる内容でした。

人の痛みは簡単にわかるものではない、でも「わかろうとしたい」。そんな事を訴えた内容であったように思います。

 

 残念ながら先日、連絡なしのドタキャンが久々に発生しました(T-T)最近は色々考えてご予約をお取りするので少ないのですがあると精神的ダメージも強いです。

2回目の方でご自身でお日にちを希望されたのですが予定日時にいらっしゃらず結局連絡なしでした。連絡がないとまず第一に事故などされたのではないかと、こちらは心配です。

そしてもしそうでないとしたら、お店としてもそのご予約の為に他の方をお断りせざるをえず、経済的損失が発生します。前後の方の時間調整も必要になります。

また僕は来院される方への精神的準備(前回はどういう状態であったか、今回はどういう施術、対応をしようかなど)を十分にしたいので、来院時間は特に大切にしたいと思っています。
もちろん人間ですから急な出来事や体調不良はありえます。仕方ないと思える場合は今のところキャンセル料も頂かず対応しております。当日のキャンセル、変更はなるべくお控え頂きたいですが、少なくともご連絡を頂き、ご相談を頂けたらと思います。

 

 最近の施術院あるある。新規の方が重なる、同じような症状の方が重なる、久々の方が重なる…、何かと「重なる」事が多いのは以前お書きした施術院あるあるですが、最近はご年配の方をご家族の方がご紹介下さるケースが重なっております。ご年配の方の施術は正直施術者の負担はお若い方に比べて大きいと思います。やはり加齢によるお身体の状態は改善に時間がかかるケースもありますし、こんなおじさんの僕とて息子様と同じような年齢だったりしますし、長年生きてこられたプライドもおありだと思うので対応には特に気を付けています。そんな中、ある方は非常にユーモアのある方で地方ならではお野菜などを色々お持ち下さったり、「先生はいい声しとるねえ、カラオケ歌ったらうまいじゃろう!」と持ち上げて下さったりもします。ご年配の方の対応は勉強になる部分も多いのです。

 

 これからの季節是非常備しておいて欲しいのが「麻黄湯」という漢方です。ドラッグストアにもおいています。これはインフルエンザウイルスを減少させる効果も科学的に立証されているようで、実際のどかに来院される看護師さんのお勤めのクリニックでも処方される先生もいらっしゃるようです。また有名な「葛根湯」も僕は常備しています。風邪薬のイメージがありますが、身体を温めてくれる作用があるようで僕は身体が少しだるい、身体が張る…という時などに身体を少しシャキッとさせる為に使う事があります。また「補中益気湯」というお疲れの時などに利用される漢方は、人間の免疫機能を強化してくれる事が科学的にわかっているようです。何かと免疫について話題となる昨今、選択肢の一つとして常備しておいてもよいかなと思います。

もちろん、持病や飲み合わせも考えて、服用の際は薬剤師の方や、お医者さんにもご相談下さいね。

 

何より健康第一!今年もあと少し、健康で良い思い出を沢山作りましょう!

 

桑田佳祐さん、ライブ参加!

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    先日、10月7日、8日と2日連続で広島グリーンアリーナで行われた桑田佳祐さんのライブに参加してきました!

こんな時期に…とおっしゃる方がおられるのかはわかりませんが、ご容赦下さい。何せ40年近くのファン歴でありまして、桑田さんの思いもラジオやファンクラブ会報などを通して十分理解した上での判断です。

勿論マスク着用の上、声だしはNO、席も間引かれ完璧の状態ではありませんが、桑田さんの声、音楽を大音量で聞ける、ただただそれだけで涙ものです(泣)

 何気にこの一年、平静を装いながらも特に8,9月は結構凹んでおりました。長引く自粛に続く大雨…。コロナにならなくとも別の病気になってしまいそうです。

何日も前からワクワクする感覚、グッズのTシャツに着替える瞬間の高揚感たるやしばらく忘れておりました。

 夢のような2時間半はまさにあっという間。桑田さんにしては少しお時間短めという印象でしたが、コロナ対策もあったのかな、でも新作EPの内容に新旧の名曲を織り交ぜた(ご時世を考慮してか明るく元気の出る曲調が多かったように思います)パフォーマンスは、ご本人曰くとても前期高齢者の仲間入りをされたとは思えない圧巻のステージでした。

ほんと、個人的には桑田さんとアントニオ猪木さんが元気であれば、僕も元気でいられるという事を再認識させられたのでありました。

 ちなみに一日目の席の横の方にはステージスタッフの方の大きな卓があったのですが、音楽に体を揺らされながら沢山のモニターを調整される姿を拝見すると、この方々にも誇りと生活がある訳で、エンターテインメントをまるで不要不急のように単純扱いされるのは、同じ個人事業主のはしくれとして、ライブを聴きながらもしばし感傷にふける瞬間がありました。

 とにもかくにも、大きなエネルギー、元気を頂いて今年も残り少なくなってきましたが、今一度有意義な秋を過ごそうと力を入れなおしたのでした(^^)/

子供さんへのオステオパシー

    朝晩は随分過ごしやすくなり秋の気配も感じるようになりました。

先日あるお母様がお子さんを診て欲しいと来院されました。最近は学校で姿勢検診が行われるところも多いようでこうしたご相談も増えています。これは良いことだと思います。 

身体を調整するというと疲れや痛みのある大人のものだというイメージがあります。しかしまだ身体が出来上がっていない成長期の子供さんこそ、曲がった状態を放置して成長していくことが、健康にどうよくないかおおよそ想像できると思います。

また姿勢が良くないというのはイメージ的にも正直良くなく、面接その他その後の人生、または性格形成にも影響があると個人的には思っています。

特にこのお子さまは5歳くらいの時にも拝見したのですが足を手術されていました。お医者様的には外科的手術で処置し、その箇所がくっつけばそれで「治った」ということになるでしょう。

しかしオステオパシーでは全身をトータルに診ます。手術をすると筋膜や骨膜を巻きこんで強い制限をつくり、その制限は全身に影響していきます。事実そうで、外傷や手術をしてしまうと( もちろん致し方ないケースはあるのですが)その制限は完全には一生抜けません。適時その制限を抜くようなオステオパシー施術をしておいたほうがよいと思いますし、その時にもそうお話しました。

ただ残念ながらこうした話をなかなか一般の方は理解し難いでしょうし医師が治ったといえばそれで安心されるのも無理はないかもしれません。

そして今回数年ぶりに拝見したのですが…その制限はやはり強固なものになっていました。お母様に一緒に足首の固さを触診して貰いましたが怪我をした側が明らかに(その部分を怪我した訳でもないのに)動きにくくなっています。これではまともな身体の重心は維持出来ず身体の他に不調をきたすかもしれません。

もちろん、どちらのリスクをとるかという問題なので仕方がない場合もあるのですが、いずれにしても子供さんの姿勢がいかにその後の健康に影響を与えるか一考頂けたらと思います。

懐かしいお顔

 前回ブログはお盆中の集中豪雨真っただ中、お店も臨時定休日にさせて頂き自宅におりましたが、自宅は自宅で呉の山あいなので土砂やがけ崩れがないとも限らない、という事でヒヤヒヤ過ごしておりましたが幸い無事に乗り越えて、落ち着いて仕事に集中しております。ただ全国のあちらこちらで被害も出ており心よりお見舞い申し上げます。

本当に、今の時代こうした災害も紙一重、いつ自分に降りかかるかもしれませんし、コロナや猛暑しかりなかなか安心できる環境が少なくなりました。

 そんな中、ここ最近ののどかでの傾向は「少し懐かしい方」の来院が多くなっているという事です。これは「治療院あるある」で一時的に同じような状況や症状の方が重なるというのは良くあります。またそうした方の顔や名前がふと僕の頭に浮かんですぐに連絡を頂くのです。本当に不思議です。

 本日も数年ぶりのご来院の女性が来られました。詳細は書けませんが色々ご苦労され、精神的な不調を長年抱えられた状態で以前施術を繰り返しておりました。施術中に涙を流された事もありました。

 そして今回。ここ1年2年で勉強した頭蓋や脳に関するアプローチや電磁波を意識した施術はこの方に合うんじゃないかな、なんて思っていたところに急なご連絡が入ったのです!

施術家として、やはりこういう事を知っていればもっと良い結果が導けたかもしれない…と施術後に感じてしまうのが一番つらい時間です。勿論、徒手療法の分野でどこまでお役に立てるかというのはありますが、人体というものへの考え方は際限ない訳で学んでも学んでもゴールはありません。

ホームページや広告などでよく「ゴッドハンド」などと紹介されている施術家をみかけますが僕にはよくわかりません。学べば学ぶほど自分の無知を知ってしまうので、とても自分をゴッドハンドなどと呼ぶ気持ちにはなれません。

本日の方も、すぐに当時に戻り冗談なども言いながら施術も進み、施術後も喜んで頂けたようでした。そしてここ最近だけで同じように少々間の空かれた数年ぶり、といった方々からのご連絡を多く頂けたのです。

 50歳も近くなってきた僕ですが、自分なりにバージョンアップしながら以前来て頂いた方にも、より進歩できたオステオパシーをお届けできたらよいなと思います。